思えば依頼されたのは去年の冬の始まり頃。「ゆっくりでいいです」の一言に甘えズルズルと後回しになっていたカスタマーN夫妻がシェアリングする「お買い物用ミニベロ」のカスタムが終了し先日納車させていただきました。
自転車愛好家のN夫妻は、それぞれに楽しいそして美しかっこいいバイクを数台ずつ所有しています。そんな中、異彩を放つ2人のシェアバイク。クロモリのミニベロの前後にパニアバックを搭載した実用的な一台が今回のドナーでした。
一見して、完成形のようにも見えるこのバイクには、サドル高こそさほど問題がないものの、ポジションや扱い易さ、など不満の残る点が意外にもあったようです。
安定感を出すため700mm超のワイドなバーを付け、遠くに行かないようショートにしたステム。奥様にはちょっと辛いポジションだったようです。
お話を進めるうちに、カゴも欲しい、倒れないように両立てセンタースタンドにしたい、チェーンリングガードは必須…。など楽しく話は盛り上がり、カスタマーN夫妻のための新しい「work bike」を作らせていただきました。
Old Newはオールドスクールのアゾニックタイプの角張ったステムにかなり角度のあるプロムナードバーを提案。これでポジションはかなり解決のはず。インダストリアルっぽい雰囲気になったので、夫妻は趣味よくアルミの角ばった大きめバスケットをセレクト。ダイアコンペのDC135ブレーキレバーとRINDOW BIKESさんのカッサーノグリップは奥様のリクエスト。
ブルックスのカンビウムからスプリング付きの楽チンサドルへと変更。次にタイヤを交換の際は絶対にスキンサイドにしたくなったそうです。チェーンリングガードもアルミバフ仕上げの美しいのをなにげにボルトオン。もちろん両立てスタンドも。
実は一番の苦労はこのカゴステーでして…。キャリアの横棒にパニアバックの引掛けがつくため、既製のステーを切断し試作を重ねながらカゴから伸びたステーがキャリア内部の穴からフロントフォークダボに固定できるようちょっぴり工作。店主の空冷ビートルの主治医「MERRY MEKARR」さんによる強固なMIG溶接にて上手く仕上げていただきました。
スペックダウンや合理的な仕様こそ「work bike」 Yes Old New!!